自転車に乗る時のヘルメット義務化が話題ですね。そこで、自転車でヘルメットとかぶらないと罰金がかかるの?その他に心配な点はあるの?と点についてご紹介します。
自転車ヘルメットの義務化
2023年(令和5年)4月1日より全年齢を対象とした自転車乗車時のヘルメット着用の努力義務を定めた改正道路交通法が施行となりました。
これまで(2008年から)の
13歳未満の子供はヘルメットをかぶらせるよう務めなければならない
の「13歳未満」の部分が「自転車に乗るすべての人」に改正されたというわけです。
この改正の背景としては、自転車の死亡事故でその原因の多くが頭部であるという実態があります。
警視庁による資料によると、平成29年~令和3年の東京都内の自転車乗車中の死亡事故の約7割の原因が頭部に致命傷をおったことによるものです。
また下図のようにヘルメットをかぶっていなかった場合は着用時と比べて致死率が約2.3倍にもなっているという結果も出ています。
こういった背景により道路交通法が改正されて、年齢を問わずヘルメット着用が努力義務化されることになったわけです。
どこで
条例ではなく法律の改正なので、日本全国において適用されます。
未着用だと警察官による職務質問はされるの
職務質問は「前略~犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある場合に限って許される」(警察官職務執行法2条1項)
ので犯罪ではない「努力義務」の場合はその対象とならず、職務質問はされません。
ヘルメット未着用の場合の罰則・罰金などは?
ところでこの「努力義務」の意味ですが、結論として違反していても罰則・罰金などが課せられることはありません。この点はオートバイの場合と異なります。
参考
オートバイ(大型二輪車・原動機付自転車)乗車時には、排気量に関係なくヘルメット着用が義務となっており、違反した場合には反則金はないけれど違反点数が1点加点されます。
実際の声としても
バイクのような駐輪中に自転車に付けておける器具がないので
自転車を止めた時にヘルメットを手で持つのが大変
ほんの2・3分の外出の時でヘルメットをかぶるのは面倒
ヘルメットをかぶらないと危険だ、という実感はない
などの否定的なものが少なくありません。
でも
万が一の交通事故の場合、死亡や大けがのリスクが高まることの他に
過失割合の点で不利益になってしまうリスクなどもあります。
ヘルメット未着用で過失割合に影響はあるの?
交通事故の場合の過失とは「注意義務違反」のことですがそこには「損害拡大防止義務違反」という考え方があります。
つまり簡単に言うと
ヘルメットを被っていたら、被害はもっと少なくて済んだでしょ
という理由で自転車に乗った人の過失割合が大きくなるということです。
つまり賠償金が少なくなる、などの結果となるわけです。
これまでオートバイについてはヘルメット未着用の過失に対する判例はありますが、自転車についてはそのような判例はないということです。
よって確かな事は言えませんので、今後の流れを注視する必要があるでしょう。
まとめ
自転車乗車時のヘルメット未着用には罰則・罰金などは課されず職務質問もされないので、現状では実態として自己判断・自己責任の範疇。
ただし当然ながら、日常的に長距離を早い速度で自転車で移動する方の場合は、法律以前に自分の身を守るためにもヘルメット着用を検討しても良いでしょう。
「自転車でも頭部損傷による死亡事故は意外と多い」ということをご存知なかった方も多いのではないでしょうか。